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子どものやる気を奪う言葉

子どもには頑張ってほしい、将来自分の好きなことができるように今頑張ってほしい、自分(親)ができなかったことでも子どもにはできてほしい、と願うため、ついつい子どもに余分な言葉をかけてしまうことがあります。「宿題終わったの?」「勉強しなさい!」自分が子どものころ言われたらやる気をなくす言葉だったのに、親になるとどうしても言ってしまいがちです。しかも、それらの言葉はすべて「やっていないことを前提として」発してしまいます。わかっていてもやめられない、言わないと不安になるこれらの言葉を、

「どうしても頑張れない人たち 宮口幸治(新潮社)」…①

「ダメ子育てを科学が変える!全米トップ校が親に教える57のこと 星友啓(SBクリエイティブ)」…②

の2冊から紹介します。

 

① 余計な言葉かけ

①の本では、余計な言葉かけとして紹介されています。やる気を出してもらおうとよかれと思ってかけている言葉ですが、やる気を奪ってしまいます。面白い例が載っていました。「もっと勉強しなさい」という母親に対して、「もっと減量しなさい」と毎日言われ続けたらどうか、というものです。減量しようと思うかどうかは、「スタイルがよくなりたい」「健康でいたい」などの気持ちによって変わるものです。では勉強しようと思うかどうかはどうでしょう。「頭がよくなりたい」「頭が良いとかっこいい」などと思うことが必要かもしれません。むしろ親が子どもの手本となり、「親のように勉強できるようになりたい」と思わせることが大切でしょうと書かれています。親がお手本となること自体難しいと思いますが、読書する姿を見せる、だらだらせずやることにメリハリをつけるなどの環境に子どもの身を置くことで自然に子どもが変わっていくかもしれません。

 

②「そんな簡単な問題…」

「そんな簡単な問題、なんでできないの!?」この言葉は「わかってほしい」と思えば思うほど思わず口をついて出てしまう言葉ですね。②の本でこの言葉は、最悪の声かけとして紹介されています。簡単な問題かどうかは親が決めることではなく、子どもから見てどうかということです。今の子どもにとって難しいのならば、その前のステップから一つ一つ確認していくか、教材の難易度を落とすなどの工夫が必要です。

もう1つ紹介します。「もう1回やってみて」です。言い方はいろいろありますが、やり直しのための言葉です。本の中では、一度できなかったものを繰り返すだけではどう直せばいいのかわからないということが書かれています。やり直させるのであればどこが間違えていて、どのように直すのかを伝えてから直すようにするのが良いということです。たとえばよくあるのが漢字の書き取りのやり直しです。「これじゃ他の人が読めない」「きれいに書いていない」ということで直しをさせるのが昔からあるやり方です。それよりも「この字はここまで伸ばしてからカクッと曲げるときれいになるよ」「バランスを見て。この横線を一番長くするとお手本みたいになるよ」などと伝えながら2つか3つくらいの字を直させることが良いと思います。「きれいな字になったね」と声をかけると、子どもの方から「こっちの字も直してみる」と言ってさらにがんばることもありますし、そこまでいかなければそこで終わりでもいいと思います。

 

ついついよかれと思って言ってしまいがちな声かけですが、確かに自分たちも子どもの頃「うるさいな」「あ〜これでやる気なくなった」と思っていたはずです。声かけはたくさんありますが、声かけの引き算がうまくできと子どもたちにも良い影響が出そうです。

 

(参考文献:「どうしても頑張れない人たち 宮口幸治(新潮社)」「ダメ子育てを科学が変える!全米トップ校が親に教える57のこと 星友啓(SBクリエイティブ)」)