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やる気スイッチはどこにある?(その3)

1 制御体験

制御とはコントロールすることです。制御体験とは、自分の感情や行動をコントロールしてうまくできた経験です。

たとえば、いつもは自分から宿題をやらないのに「今日はやってみよう」と考え宿題をやってみたらその日はすっきりした気持ちで過ごせた、または親からほめられたという経験。いつもは拾わない教室に落ちている落とし物を拾ってあげたら「ありがとう」と言われた経験。友達とけんかをした夜、「明日あやまろう」と決心して次の日あやまったら相手もあやまってくれて心が暖かくなった経験。定期テストまでゲームを我慢して勉強をがんばったら成績がいつもより良かった経験。

そのような成功経験をすることが制御体験であり、自己効力感を高めることの1つになります。ほんの少しでいいのでいつもと違う何かをして、小さな成功体験を積み重ねられると良さそうです。

 

2 代理体験

代理体験とは、他人の行動や成功例などを見て、自分の経験の一部にしていくというものです。

たとえば、兄弟(兄妹)や姉妹では、上の子の行動を見て下の子は行動を変えるというのをよく見かけると思います。上の子が叱られていると、下の子は同じことで叱られないようによく観察しています。スポーツなどでも、兄弟(兄妹)のうち、弟の方が上手になってしまうのはよくあることで、これも下の子は上の子がやっているのを見ているうちに、自分の経験の一部にしてしまっているということです。きょうだいでなくても、話し方、習い事などを他人から学ぶこともできますし、本に書かれていることを自分の経験として取り入れることもできます。

このように代理体験は、他人から学び、自分を成功に近づけていくことです。

 

3 言語的説得

言語的説得とは、いわゆる言葉がけです。

「きみならできる」「きっとうまくいく」などの励ましの言葉、「よくがんばった」「素晴らしい」などの肯定的なフィードバック、「こうすればもっとうまくできる」などの具体的なアドバイス、などです。

これらの言葉を何かに挑戦しているとき、失敗を経験して自信を失っているとき、何かを習得しようとしているときなどにタイミングよく伝えられると効果的になります。いつでもどんなときでもただ言えばいいということではないので注意が必要です。

 

4 生理的情緒的状態

個人の身体や気持ちの状態が良いかどうかということです。

十分な睡眠がとれているとき、バランスの良い食事がとれているとき、リラックスしているときなどは身体が良い状態です。気持ちの面では、趣味など自分の好きなことができているとき、好きな音楽を聞いて気持ちが前向きになっているとき、周囲の人と良い関係ができているとき、などに良い状態になります。

 

これら4つのことを意識することで、自己効力感は上がっていきます。さらに、

制御体験+言語的説得で、お子さんが何かを意識して行動し、それが良い行動だったとき、「よく考えて行動したね」などの言葉がけをしてみてください。効果がさらにアップします。

生理的情緒的状態+言語的説得で、お子さんの気持ちがのっているとき、「もう1問やってみる?」などの言葉がけをすることも有効です。

どちらも大切なのはタイミングを逃さないことです。