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やる気を伸ばす科学的アプローチ!2

やる気を伸ばす科学的アプローチ!1では、脳は「つながり」「できる感」「自分から感」を感じるように動こうとする、という内容を紹介しました。今回は、やる気の種類も合わせて紹介しようと思います。

 

やる気には2種類ある!?

・内発的動機づけ

・外発的動機づけ

の2種類です。内発的動機づけとは、それをやること自体が楽しいこと。たとえば小さい子がままごとをして楽しんだり、社会科で歴史を知ることが楽しいなどです。外発的動機づけとは、それをやることで褒められる、ご褒美がもらえる、または逆に叱られるなどの外からの影響によって何かをすること。たとえばテストで良い点をとったらご褒美がもらえる、部屋の掃除をしないならお小遣いなし、などです。

 

内発的動機づけ、外発的動機づけどちらがいいの?

どちらがいいのかと言えば、もちろん内発的動機づけです。これはもう経験でわかっていることだと思います。「ご褒美でつられなくても自分から取り組むほうが素晴らしい」という道徳的な意見もあると思います。まさにその通りですが、研究からも内発的動機づけの方が良いことがわかっています。

外発的動機づけはダメというわけではありません。外発的動機づけは短期的に効果が上がることがわかっています。また、何かを始めるきっかけとして外発的動機づけをすることも良い方法だと思います。しかし、ずっと続けていくと効果は薄れていきます。さらに注意しなければならない点として、外発的動機づけを中心にしていくと心身に悪影響が出るリスクが高まることや、最初は内発的動機づけで始めても、外発的動機づけが入ってきてしまうと徐々に外発的動機づけでないと動かなくなってしまうことがあります。たとえば、歴史を覚えることが好きな子がいるとします。その子に対して、「歴史のテストで100点とれたらお小遣いアップ」などの外発的動機づけをし続けたとすると、最初はただ覚えるのが好きだったとしても、徐々に「テストはここを聞かれるだろうからここを集中的に覚えよう、そうすればお小遣いアップだ」のようにご褒美のことが大きくなっていってしまうというようなことです。歴史を覚えることに変わりはないので悪くはないのですが、問題はご褒美よりも罰を与える外発的動機づけです。たとえば「片付けなければお小遣いなし」のようなものです。これだとお小遣いをもらうためには片付けをしないといけないということになります。たまにならそういうときもあると思います。もし毎回このような外発的動機づけをしているとしたらどうでしょう。

外発的動機づけの方が大きくなってしまうので、自分から「片付けよう」という内発的動機づけは育たないことになります。すると「お小遣いがもらえないなら片付けない」「罰がないなら道にゴミを捨てても大丈夫」のような思考になっていってしまいます。「子どもが自分からやってくれないから外発的動機づけをするしかない」という意見ももっともですし、本当にそうだと思います。楽な方に流れたいのが子どもです。親としては内発的動機づけと外発的動機づけをとりあえず頭の片隅におきながら子どもと接することくらいしかできないかもしれませんが、意識してみるだけでも少しだけ変わると思います。自分でどんどん物事を進めていけるのは内発的動機づけですので、内発的動機づけを増やしていきましょう。

 

どうやったら内発的動機づけが増える!?

子どもたちは小さな頃からあらゆるものに興味をもっています。赤ちゃんのころはガラガラを振って音を鳴らしたり、ハイハイをするようになったらティッシュを全部引っ張り出してしまったり、そのあたりにあるものを手当たり次第口に入れたり、お母さんのメガネを取ろうとしたり、書類をくしゃくしゃにしたり…。大きな子がそれらをやったらただの迷惑ですが、赤ちゃんがやると「興味があるんだね」となります。興味があって周りの大人が見守ってくれている時、赤ちゃんは「つながり」「できる感」を感じ、安心してまた次の興味のあるものに向かうことができます。それがいつからか「片付けるの大変だからやらないで」「もうやめなさい」と言われるようになります。前者は内発的動機づけが次々出てきそうですが、後者は外発的動機づけに変わってしまっていることがわかります。難しいところではありますが、ここも意識したいところです。

内発的動機づけが増えていくためには、心の三大欲求である「つながり」「できる感」「自分から感」が満たされることが大切です。子どもたちが自分から何かをしようとするときは、この三大欲求を満たそうとしているときです。もしかしたらその行動自体はよくないことかもしれないので、そこは軌道修正する必要がありますが、「つながり」「できる感」「自分から感」のどれかを認めてあげることができれば、「次もやってみよう」と内発的動機づけで動けるようになっていくのではないでしょうか。

 

(参考文献:「ダメ子育て」を科学が変える!全米トップ校が親に教える57のこと 星友啓)